【むつごろう便5号】佐賀DARC代表 松尾周

 35度を超えるような暑い日が長く続いたかと思えば、台風による大雨。隣を流れるクリークが溢れるのではと心配をしていましたが、何事もなく佐賀DARCのメンバーたちも元気に過ごしています。少しばかり涼しくなり、これでエアコンもつけなくてよくなるなと電気代の心配がひとつ軽くなりました。

 8月の佐賀DARCは7月に続き、海水浴やキャンプと楽しむプログラムが充実していました。隣県の九州DARCや長崎DARC、ARC(アルコール依存症回復施設)との合同で行うイベントに参加することができ、おおいに楽しみ、回復の機会も与えられています。

 50名近くの依存症の仲間たちが集ると、初めての仲間に緊張し、調子を崩す仲間、特定の仲間としか関われない仲間、テンションが上がりすぎる仲間、といろんな姿があります。

 しらふになっても、逆にしらふになって初めて自分の生き辛さに気づき、楽しめないもどかしさを感じたりもします。少しクリーンの長くなった仲間が、心の底から楽しんで弾けている姿は、自分もあんな風に楽しんでみたいと思わせてくれたものでした。最初は楽しむことすらプログラムだから楽しまなきゃとやっていた時期もありました。

 普段、少人数でプログラムを行っている佐賀DARCのメンバーにとっては、別の施設のメンバーとのフェローシップは、たくさんの回復のための刺激になったようです。楽しみないところに回復はないと普段から伝えています。

 7月も8月も笑顔の多い日々をすごせていると思います。先月のニュースレターにも、「遊んでばかりとお叱りを受けそうですが」と書いていたところ、あるご家族の方から「薬物を使い続けて止めることができなくて、ずっと苦しんできたから思いっきり楽しませてください」と言葉をいただき、ご家族もずっと笑顔が見たかったんだろうなと思いつつ、DARCにたどり着いたときには表情も固まり、感情を現すことのなかった仲間が釣りに、バーベキューに、いつも笑顔で声をかけてくれる変化に仲間の力の大きさを再確認させられます。

 仲間の笑顔は仲間に伝染するようです。

 楽しむばかりでもありません、日々のミーティングでも職員の自分が、みんな真面目すぎだなぁと思うくらい真剣に取り組んでいます。自分の過去を振り返る作業は苦しいものでしたが、毎日のミーティングでの変わりたいという仲間のやる気に私自身も引っ張ってもらっているようです。

 1日2~3回のミーティングも、苦しいばかりではなかなかやる気が起こらないのですが、楽しむことはミーティングにも良い効果を与えてくれている気がします。

IMAG0346 先月、リユースパソコンの寄贈プログラムでパソコンを3台、それに合わせて福岡の保護観察所と支援者の方からモニターをいただきました。さくらフリースクール(通信制高校サポート校)からはノートパソコンをいただきました。

 現代社会では使えて当たり前のパソコンですが、今まで薬を使い続けた仲間、刑務所へ出たり入ったりの仲間と、使い方が分からない、分からないとすら言えなかった仲間たちも多いのです。いただいたパソコンに恐る恐る触れ始め、タイピングを少しずつ、最初は濁音も小文字も打てません。

 「じゃ」ってどうやって入力するんですかね? 仲間になら聞いても恥ずかしくありません。

 最近では、音楽をダウンロードしてみたい、DVDを焼いてみたい、○動画を見てみたい――とやりたいことが増えてきました。仲間に聞くことが出来るようになりました。

 今は忙しそうだからと、あれこれ気を使ったり、教えてもらうことや、ものを頼むことなんかも苦手ですが教わることが平気になります。

 普段の生活の中で、しらふで生きること自体がプログラムになっています。パソコンを覚えることも、出来ることが少しずつ増えていくことも、自己肯定感を高めてくれ楽しむ幅も広がります。

 先日はソファーもいただきました、ここはDARCなのかと驚くような立派なソファーです。快適な生活を送る中で、あの頃には戻りたくないと普通の暮らしに喜びを感じます。

 「感謝だなぁ」と仲間の口からこぼれる、感じることを始めた。回復していっているようです。

 肥前精神医療センターや保育園のお祭りで綿菓子を販売したり、子供たちとスポーツをしたり、喜んでもらえる必要とされる経験も。
 
 見回すと多くの支援者の方から、たくさんの回復に役立つものを与えられていることに心より感謝しています。「いるだけで変わるから」と入寮したばかりのころに言われたことがありました、今後も仲間の回復出来る場所を存続していけることを願っています。

 佐賀DARCでは、日々プログラムを実践しています。

カテゴリー: 5号(2013年9月), むつごろう便 タグ: , , , , , パーマリンク